ムスリム違法捜査事件・国賠訴訟の第一審判決が言い渡されました。

訴訟の内容

 2010年10月28日ころ、警視庁公安部外事第三課の「国際テロ対策」関係の捜査資料114点が、そのままインターネット上に流出し、さらにその資料が何のマスキングもされないまま書籍として販売されるという事件がありました。
 その資料から、日本の公安警察が、テロリストの疑いがあるか否かに関わりなく、国内に住むイスラム教徒(ムスリム)を無差別・網羅的に監視下に置くなどして(例えば、モスクの24時間監視、別件逮捕・捜索など)、その氏名・住所・職業・行動・家族の情報など、あらゆる個人情報を収集していたことが明らかになりました。
 そこで、2011年5月16日、資料に個人情報が記載されていたムスリム17名が原告となり、情報流出による被害はもちろんのこと、上記のような個人情報を本人に無断で収集・保管・利用していたことが、憲法が保障する原告らの信教の自由、プライバシーを侵害し、平等原則に反するとして、国家賠償請求訴訟を提起しました。
 当事務所からは、髙橋右京弁護士が弁護団のメンバーとして同訴訟に携わってきました。

判決の評価と今後

 そして、2014年1月15日、上記訴訟の第一審判決が言い渡されました。
 判決は、情報流出についての東京都(警視庁)の責任と、原告らが被った多大な損害を認め、東京都に対し原告一人あたり550万円(原告一人のみ220万円)の支払いを命じるものでした。
 同判決は、確かに流出について都の責任を認めさせた点、原告らが多大な精神的損害を被ったことを認めた点については評価できるものですが、残念ながら、個人情報の流出・保有・利用の違憲性・違法性については、主にテロ対策の必要性を理由に、全く認めませんでした。市民に対する、しかも宗教差別を助長するおそれの高い監視活動を無制限に認めたという意味で、極めて不当な判決と言わざるを得ません。
 原告たちは、このような判決を受け入れることはできず、控訴を予定しております。引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

*本件についての東京新聞の社説
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014011702000164.html