「労働審判」のメリット・デメリット
- 先日、長年勤めていた会社を、全く身に覚えのない理由で突然解雇されました。全く納得がいかないので、会社の責任を追及したいのですが、かといって、長い時間をかけて裁判をやるのも億劫です。「労働審判」という制度があると聞いたことがあるのですが、どんな制度ですか。普通の裁判と比べて、何かデメリットはあるのでしょうか。
- 労働審判とは、2004年から始まった比較的新しい制度で、個別の労働関係紛争(解雇事件、残業代請求、セクハラ・パワハラの損害賠償請求など)のみが対象とされる制度です。
一番の特徴は、期日が最長3回までと制限されている点です。この3回の期日の中で、裁判所の主導で話し合いによる解決(調停)を目指して審理が行われます。話し合いが付かないと裁判所が「審判」を下し、当事者のどちらかが異議を申し立てれば民事訴訟に移行しますが、8割方は話し合いで解決すると言われています。しかも、実際は1~2期日で終わることが多いので、早ければ申立ててから1~2か月で事件は終了します。この短期解決が労働審判の最大のメリットです。
しかし、実質的な審理はほとんど第1回期日でしか行われませんので、民事訴訟のように、複雑な事案をじっくり審理することは困難です。また、基本的には話し合いによる解決(解雇事件の場合でしたら、いわゆる「金銭解決」)を目指す制度ですから、本気で復職を考えるのでしたら、通常の民事訴訟の方が適切かもしれません。
このように、労働審判には、メリットもデメリットもあり、民事訴訟か労働審判かの選択には、その事案やご本人のご意向、証拠の状況などを踏まえた、経験豊富な弁護士によるアドバイスが不可欠です。お悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
このQ&Aは、過去の相談をもとに掲載しています。題名横の日付の時点での回答ですので、その後の法改正などにより、現在は内容が変わっている場合もありますので、ご了承下さい。