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法律Q&A FAQ

マンション管理の問題

回答:弁護士 萩尾 健太

私は築4年のマンションに住んでいますが、管理費を4年間ずっと滞納している区分所有者がいます。また、最近、庶民増税のせいか、新たに滞納するようになった区分所有者も数名います。 マンションの管理組合としては、どのように対処したらよいでしょうか。
 どうしても払わないなら、裁判を起こす必要があると思います。区分所有法47条8項には「管理組合法人は、規約または集会の決議により、その事務に関し、区分所有者のために、原告または被告となることができる」とあります。管理費を長期滞納する人から取り立てるのはなかなか大変ですが、判決を得れば差押などもできます。ところで、あなたのマンションの規約には、どのように記載されていますか。
今の規約では、訴訟は集会の普通決議によるとなっていますが、いちいち普通決議が必要だと大変なのですが。
 マンション管理組合の集会などは、民主主義によってマンションを運営するためのものなので大事なのです。ただ、未納の管理費を回収するには5年の時効があるので、機敏な対応が必要です。国土交通省が公表している標準管理規約60条3項では次のように定めています。「理事長は、未納の管理費等及び使用の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる」。そこで、長期滞納者の件だけでなく、今後のことも考えれば、規約改定も検討してもよいと思います。法的な手続きを取る時は、総会の普通決議ではなく、理事会の決議ですぐにできるようにする、との改定するのです。
 もっとも、規約変更は、必ず集会の特別決議によらなければならならず、簡単ではありません。集会の決議には、普通決議と特別決議があります。普通決議は区分所有者および議決権の過半数による決議であり、特別決議は4分の3以上の決議です。 そうした厳格な手続きを条件に、理事会の決議で訴訟を遂行できるようにするのです。そもそも、特別決議をするには、多くの区分所有者で議論をして集会への参加を求める必要があります。そうした議論をする中で、各区分所有者の意識も高まり、管理費を滞納する人もいなくなったりしますよ。その過程が大事だと思います。

 ただし、管理組合の理事は持ち回りであることが多く、理事会の決議で簡単に裁判を起こせるようにしてしまうと、心配な点もあります。訴訟が起こせる対象を、管理費等の未納分徴収など迅速性を要する事項に限定することも検討するとよいでしょう。

このQ&Aは、過去の相談をもとに掲載しています。題名横の日付の時点での回答ですので、その後の法改正などにより、現在は内容が変わっている場合もありますので、ご了承下さい。