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法律Q&A FAQ

危急時遺言について

私には弟がいますが、今、病院で危篤状態です。弟は結婚しておらず、子どもはなく両親もすでに他界しています。他に兄弟が2人います。弟には土地位しか財産はありません。弟は私が弟の面倒を看ていたことから「土地は姉さんに相続させる。」と常に言っていました。 しかし、弟は突然救急車で運ばれて病院に入院してしまい、生死をさまよう状態です。遺言書は作成していません。弟は何とか話しはできますが、記述したり、署名することまではできそうもありません。どうしたらいいでしょうか。
 そのような緊急時のために、遺言の特別方式として危急時遺言というものがあります(民法976条)。以下のような条件を満たせば遺言が成立します。
 ①遺言者が疾病その他の事由で死亡の危急に迫られていること
 ②証人3人以上の立会があること
 ③証人の1人に対して遺言者が遺言の趣旨を口授すること
 ④口授を受けた証人はこの口授を筆記すること
 ⑤遺言者と他の2人の証人に対して筆記を読み聞かせるか閲覧させること
 ⑥各証人が筆記が正確なことを承認した後に署名、押印すること。

 さらに、危急時遺言は必ず遺言の日から20日以内に証人の1人又は利害関係人から家庭裁判所に請求をして確認を得なければ効力が生じません。さらに裁判所が確認をするためには遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければなりません。なお、遺言者が回復して普通方式によって遺言をなしうるようになってからさらに6ヶ月生存したときは、危急時遺言は失効します(民法983条)。
 このように緊急の場合には、口頭での遺言が認められています。ただ、危急時遺言は緊急時のものであることから、方式の欠如などを理由に有効無効が争われることが多いため、自分の意思を確実に実現させるためには、公正証書遺言を作成しておいた方が望ましいと言えます。遺言作成等について疑問等あればご相談下さい。

このQ&Aは、過去の相談をもとに掲載しています。題名横の日付の時点での回答ですので、その後の法改正などにより、現在は内容が変わっている場合もありますので、ご了承下さい。