改正労働者派遣法について
- 私は、前の会社を解雇されて以来、正社員としてなかなか採用してもらえず、今は派遣会社に登録し、いくつかの派遣先を転々とし、今は電機メーカーの工場に派遣されています。この工場では1年以上派遣されていますが、いつまた契約が更新されず、職を失ってしまうのではないかと、とても不安です。最近、労働者派遣法が改正されたと聞きましたが、その改正によって、このような私の不安定な生活が改善されるようなことはあるのでしょうか。
- 2012年3月28日、労働者派遣法の改正法が成立し、同年10月1日より施行されました。もともとの政府案では、不安定雇用の大きな原因といえる、登録型派遣業や製造業への派遣を原則禁止するという規定がありましたが、与野党3党合意により、この規定は削除されてしまいました。また究極の不安定雇用ともいえる日雇派遣についても、3党合意により、禁止される範囲が雇用期間2ヶ月以内の日雇派遣から雇用期間30日以内の日雇派遣にまで縮小されてしまいました。これらの点で、改正法は、労働者の保護の観点からとても不十分なものになってしまいました。
あなたの場合、製造業への派遣ですが、今回の改正ではこのような派遣も許されるということになってしまいました。
改正法では、不十分とはいえ、労働者保護のための以下のような規定も設けられました。
①派遣会社に、マージン率等の公表が義務づけられた。
②派遣会社に、派遣先正社員との均等待遇に配慮すべき義務が課せられた。
③派遣会社に、雇用期間が通算1年以上の派遣労働者に対する、無期雇用への転換の機会の提供や紹介予定派遣の対象とするなどの措置をとるよう努力すべき義務が課せられた。
④離職後1年以内に、派遣労働者として元の派遣先に派遣することが原則禁止された。あなたの場合、同じ派遣先で同じ業務に1年以上従事していますから、もともと旧法下でも、派遣先に対して直接雇用するよう要求できた可能性があります(改正法40条の3)。しかし、改正法の下ではさらに、派遣会社に対しても、上記③のとおり、無期雇用への転換の機会の提供や、派遣先に対する直接雇用のあっせんを予定して行われる紹介予定派遣の対象とすることなどを、要求することができる可能性があります(改正法30条)。
派遣労働者の皆さんは、このような派遣法の規定を知らず、損をしていることも多々あるのではないかと思います。もし少しでも疑問に思われたことがあれば、ぜひ気軽に、弁護士にご相談ください。
このQ&Aは、過去の相談をもとに掲載しています。題名横の日付の時点での回答ですので、その後の法改正などにより、現在は内容が変わっている場合もありますので、ご了承下さい。