無料法律相談のお知らせ

法律Q&A FAQ

裁量労働制だと残業代はもらえない?

コンピューターのデータ処理をする会社に勤めて、データ処理の仕事をしています。毎月の残業が70時間くらいになるのですが、上司からは「君は裁量労働制だから残業代はつかない」と言われました。入社した時の契約書には確かにそのようなことが書いてあります。あきらめなくてはならないのですか。
 裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある労働者については、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。従って例えばみなし労働時間を(所定労働時間と同じ)週40時間と労使が合意しているような場合、週50時間働いても40時間働いたものとみなされ、残業代は発生しません(但し深夜割増や休日割増は発生します)。逆に週35時間しか働かなくても40時間働いたものとみなされますが、そんなケースはあまり聞いたことありません。

 一般的な仕事の進め方のイメージとしては、会社は社員に仕事の内容を説明し期限を指定します。社員は自分で納期までのスケジュールを決め、自由に時間を使って労働します。会社は途中経過を報告させ、仕事が順調に進んでいるかどうかを確認することはできますが、時間配分など仕事の進め方について指示することはできません。

 ところが、裁量労働といっても名ばかりで、会社から業務について細かく指示されて仕事をしている場合や、通常では考えられないような仕事量を与えられて、毎日社員は仕事づけになっているような場合もよくあります。このような場合、裁量労働制の合意は無効だとして残業代の請求はできることになります。

 またこのように不払い残業を横行させる危険があるので、裁量労働制が認められる業務については厚生労働省令により、19の業務に規制されています。あなたの場合、それらの内の「情報処理システムの分析又は設計の業務」に該当する可能性がありますが、その具体的な内容は、①顧客ニーズや業務の分析等による最適なシステムや機種の決定、②入出力・処理手順などの最適なアプリケーションシステムや最適なソフトウェアの決定、③システム稼働後の評価・改善、など相当に高度な知識、技量を用いて裁量的な判断が必要なものに限られます。

 あなたの業務がこのような内容の業務であるのかどうかが問題です。単に会社からの指示に従ってデータの処理をしているだけであるとすると、これには該当しません。その場合も残業代は請求できることになります。

このQ&Aは、過去の相談をもとに掲載しています。題名横の日付の時点での回答ですので、その後の法改正などにより、現在は内容が変わっている場合もありますので、ご了承下さい。