借家の明け渡しと敷金
- 賃貸マンションに5年ほど住んでいたのですが、仕事の関係で転居することになり、引っ越しを終えました。ところが賃貸人から、内装の壁や天井のクロス張り、襖の全面張り替えや畳の表替え、台所のハウスクリーニング代など合計50万円もの原状回復費を請求され、敷金の30万円では足りないから、差額を支払うようにという請求を受けています。
- 賃借していた室内を汚したり壊したりした場合には、原状回復の費用を負担する必要があります。しかしそれは、通常の使用による劣化を超えた「特別の損害」を与えた場合のことであって、通常の使用や経年劣化に関してまで、借りている人が負担する義務はありません。5年程度の使用でどの程度の損傷が生じたのか、事実(実情)の確認が大切です。
賃貸人が、資産の経年劣化の回復に必要な費用まで賃借人に負担させようとするのは無理なことであり、そのような場合には、上記の説明をして負担を拒否するべきでしょう。このことは、契約書に「特約」として書いてあっても同様だと考えます。公序・良俗に違反する無効な特約だからです。
仲介業者も交えてよく協議することが第一ですが、どうしても平行線なら、簡易裁判所に低額訴訟を申し立てることも考えられます。裁判所が間に入って、常識的な腺での和解を勧めてくれる可能性もあります。
このQ&Aは、過去の相談をもとに掲載しています。題名横の日付の時点での回答ですので、その後の法改正などにより、現在は内容が変わっている場合もありますので、ご了承下さい。