家業の承継と遺産分割
- 私は、祖父母の代からの家業に就いて、若いころから父の下で働き、父親が引退した後は経営を引き継いできました。そのような経緯から、私は住宅兼事務所となっている父名義の家で、両親と同居して生活してきました。先日、父親が他界し、弟や妹と相続の話合いが始まりました。私としては、私が尽力した家業の経営による収入は、大半が父親の財産として蓄えられてきたのだから、自宅は私が相続したいと考えていますが、弟たちが納得しません。どうすれば良いでしょうか。母は既に亡くなっております。
- 家業の経営によって遺産が形成・維持されてきたのであり、あなたがその経営を担ってきたのですから、そのご尽力によって得られた部分は、寄与分として算定・評価されます。あなたが経営に加わり、さらには引き継いできた期間における経営の実情を、これまでの決算書などによって検討して、どれほどの貢献があったかを積算してみて下さい。
他方で、無償で同居してきたことによる利益を、特別受益として指摘されているとのことですが、これも実情が重要です。確かに、家賃の負担なしに居住してきたことによる利益はあったでしょうが、その反面で、晩年のご両親の介護を引き受けてきたことや、そもそも「自宅兼事務所」で同居しなければ、家業の経営は無理なのですから、そうした事情も総合的に評価される必要があります。
こうした事情も考慮の上で、預貯金などの他の遺産の配分も視野に入れて、ご兄弟を説得してみて下さい。解決できない場合には、家事調停を申し立てる方法もあります。いずれにしても、納得を得ることが大事ですから、基礎となる事情や資料を整理して、よく説明して下さい。
このQ&Aは、過去の相談をもとに掲載しています。題名横の日付の時点での回答ですので、その後の法改正などにより、現在は内容が変わっている場合もありますので、ご了承下さい。