法律 Q & A

 相談者の方からよくうけるご質問を、Q&A形式でご紹介いたしました。
 同様の内容は、事務所ニュースにも掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

※このQ&Aは、過去の相談をもとに掲載しています。題名横の日付の時点での回答ですので、その後の法改正などにより、現在は内容が変わっている場合もありますので、ご了承下さい。

  • 離婚後の氏はどうなる?(2017.3.1 No.79)

    Q:このたび、夫と話し合って、離婚することになりそうです。夫との間には小学生の子どもと中学生の子どもがいますが、子どもたちは、私が親権者となって私と生活する予定です。子どもたちは、自分たちの名字がどうなるのか心配しています。離婚によって名字はどうなるのでしょうか。

  • これからどうする戦争法(2016.1.1 No.77)

    Q:憲法に違反する戦争法案が成立してしまいました。これをなくすためにはどうしたらいいですか?

  • 「労働審判」のメリット・デメリット(2015.8.1 No.76)

    Q:先日、長年勤めていた会社を、全く身に覚えのない理由で突然解雇されました。全く納得がいかないので、会社の責任を追及したいのですが、かといって、長い時間をかけて裁判をやるのも億劫です。「労働審判」という制度があると聞いたことがあるのですが、どんな制度ですか。普通の裁判と比べて、何かデメリットはあるのでしょうか。

  • 交通事故について(保険会社に適正な金額を支払わせるために)(2015.1.1 No.75)

    Q:先日、自動車で交差点で信号待ちのために停車していたところ、後方から走向してきた自動車に自車を追突され、頚椎捻挫(むちうち)と診断されました。病院には6ヶ月間通院しました。先日、加害者が加入している損害保険会社より、示談金の提示をされたのですが、その金額が妥当な金額であるかどうかがよくわかりません。

  • 遺産分割~自分の他に、付き合いのない法定相続人がいたら?(2014.8.1 No.74)

    Q:私の夫が昨年なくなりました。私には子どもが二人いますが、すでに独立しているので、子ども達は、遺産はすべて私が相続すれば良いと言ってくれました。
     夫の遺産は、自宅不動産だけで、預貯金はほとんどなく、生前に引き出してお葬式に使ってしまいました。自宅も一人では広すぎますし、古い建物で、管理も大変なので、売却してマンションに買い換えようと思いました。不動産屋さんに相談したところ、思いの他早く買い取り希望の方を探してくれ、マンションも条件が合いそうな物件が見つかりました。ところが、売却手続きを進めると、夫に別の先妻との間のお子さんが、いることがわかりました。今までは一切直接の交流はありません。どうなるのでしょうか。

  • 裁量労働制だと残業代はもらえない?(2014.1.1 No.73)

    Q:コンピューターのデータ処理をする会社に勤めて、データ処理の仕事をしています。毎月の残業が70時間くらいになるのですが、上司からは「君は裁量労働制だから残業代はつかない」と言われました。入社した時の契約書には確かにそのようなことが書いてあります。あきらめなくてはならないのですか。

  • 「夏だ!気持ちよく働き、おいしくビールを飲む秘訣」(2013.8.1 No.72)

    Q:会社の事情で仕方なく、サービス残業や家に持ち帰って仕事をしている。これらの仕事に関して残業代は請求できないの?

    Q:女性社員に対して、上司が卑猥な言葉を言ったり、雑用を押し付けてきたりして困っている。何とかならないものか?

  • 改正労働者派遣法について(2013.1.1 No.71)

    Q:私は、前の会社を解雇されて以来、正社員としてなかなか採用してもらえず、今は派遣会社に登録し、いくつかの派遣先を転々とし、今は電機メーカーの工場に派遣されています。この工場では1年以上派遣されていますが、いつまた契約が更新されず、職を失ってしまうのではないかと、とても不安です。最近、労働者派遣法が改正されたと聞きましたが、その改正によって、このような私の不安定な生活が改善されるようなことはあるのでしょうか。

  • リフォーム詐欺にご注意!(2012.8.1 No.70)

    Q:一人暮らしをしている高齢の母(X)の自宅にリフォーム業者(Y社)がやってきて、リフォーム工事契約とクレジット契約を締結させられてしまいました。母に事情を聞くと「耐震性の無料点検をします。」と言って家に上がり込まれ、「このままではちょっとした地震でも倒壊しますよ。」と言われてよくわからないままに契約を締結してしまったそうです。数日後、建築士にみてもらったところ、必要のないリフォーム工事であることがわかりました。これらの契約を白紙に戻すことはできないのでしょうか。

  • 更新料特約は有効か!?(2012.1.1 No.69)

    Q:私は、自宅アパートを2年間の契約期間で借りています。大家さんとの間の賃貸借契約には、この契約期間が満了して賃貸借契約を更新する場合には、賃料の2ヶ月分を更新料として支払うという文言が記載されています。このような更新料を支払う旨の約束は法的に有効なのでしょうか?
     また、この約束が有効であるとして、私がこの約束に反して更新料を支払わなかった場合、直ちにアパートを出ていかなければいけないのでしょうか。

  • DV(ドメスティック バイオレンス)勇気を出して相談を!(2011.8.1 No.68)

    Q:1才の子どもがいる主婦です。夫の暴力がひどく、このままではとても耐えられず、家を出ようかと考えています。ただ、身寄りがなく、子どもが小さいためすぐに子どもを預けて働きに出るのも難しいので、とても困っています。

  • がんばれ イクメン(2011.1.1 No.67)

    Q:最近「イクメンのすすめ」という話しをよく聞きます。「育児に積極的に取り組む男性」のことを言うらしいです。僕も、せっかく子供が生まれるのだから、妻任せにしないで育児にチャレンジしたいのです。
     でもうちの会社は妻が専業主婦の場合には、育児休業がとれないという労使協定があるのです。やはり育児休業を取るのは無理なのでしょうか?

  • 成年後見制度(2010.8.1 No.66)

    Q:テレビや新聞で認知症などで判断能力が低下した高齢者が悪徳商法などの被害にあっていることを見聞きしますが、このような被害を防ぐための制度はないのでしょうか?

  • 女性差別撤廃条約について(2010.1.1 No.65)

    Q:「国連で『女性差別撤廃条約」が採択されてから30年」というニュースを見ました。そもそも「女性差別撤廃条約」とはどのような条約なのでしょうか?
     また、この条約に関する日本の現状について教えてください。

  • そうだ、生活保護を受けよう!(2009.8.1 No.64)

    Q:生活保護はどういう場合に利用できますか?

  • インターネット上の名誉毀損(2009.1.1 No.63)

    Q:インターネットを見ていたら、とある掲示板で、私の実名をあげて、全く身に覚えのないことを書き遵ね、私のことを侮辱するような書き込みを発見しました。誰が書き込んだのがはわかりませんが、ネット上で私に関する嘘の噂が広まるのは耐えられません。どうしたらよいでしょうか。

  • 離婚に伴う年金分割制度(2008.8.1 No.62)

    Q:今年から離婚の際には強制的に夫の厚生年金が分割されるようになったと聞きました。詳しいことを教えて下さい。

  • 危急時遺言について(2008.1.1 No.61)

    Q:私には弟がいますが、今、病院で危篤状態です。弟は結婚しておらず、子どもはなく両親もすでに他界しています。他に兄弟が2人います。弟には土地位しか財産はありません。弟は私が弟の面倒を看ていたことから「土地は姉さんに相続させる。」と常に言っていました。
     しかし、弟は突然救急車で運ばれて病院に入院してしまい、生死をさまよう状態です。遺言書は作成していません。弟は何とか話しはできますが、記述したり、署名することまではできそうもありません。どうしたらいいでしょうか。

  • マンション管理の問題(2007.8.1 No.60)

    Q:私は築4年のマンションに住んでいますが、管理費を4年間ずっと滞納している区分所有者がいます。また、最近、庶民増税のせいか、新たに滞納するようになった区分所有者も数名います。
     マンションの管理組合としては、どのように対処したらよいでしょうか。

  • 建物の明渡しと立退料(2007.1.1 No.59)

    Q:私は,自分の土地に建てた家を人に貸していました。今度その家をリフォームして,私自身がその家に息子夫婦と一緒に住もうと思い,借家契約の期間満了に伴い,契約更新を拒絶して,借家人に建物の明渡しを求めました。ところが,借家人は立退料を要求してきました。
     私は,立退料を支払わなければいけないのでしょうか。また支払わなければならない場合,いくら支払えばいいのでしょうか。

  • クーリングオフって何?(2006.1.1 No.57)

    Q:自宅に来た訪問販売員にしつこく勧誘されて、化粧品を買わされてしまいました。一旦は一応納得して契約しましたが、後でよく考えると、必要のない物を強引に買わされたので、納得がいきません。このような契約を解消する何か良い方法はありますか。

  • 交通事故を起こしてしまったら(2005.8.1 No.56)

    Q:昨日、仕事で自動車を運転中、交差点で接触事故を起こしてしまいました。青信号に従って右折しようとしたところ、前方から直進してきたバイクに気づかず、あわててブレーキを踏んだのですがぶつかってしまいました。反対車線にも右折車が止まっていて、その影からバイクが高速度で飛び出してきたので、直前までよく見えなかったのです。
     損害賠償については、私にはどの程度の責任が生じるのでしょうか。

  • 離婚について(2005.1.1 No.55)

    Q:結婚して10年が経ち小学生の子どもがいます。夫に交際している女性がいることがわかったので、離婚することを考えています。離婚するにはどうすればよいのでしょうか。
     また、夫に金銭的な要求をすることができますか。

  • 保証人について(2004.8.1 No.54)

    Q:知人に「絶対迷惑をかけないから連帯保証人になって欲しい。はんこを貸してくれれば、手間も取らせない。」と頼まれました。でも、「保証倒れ」という言葉も聞きますし、友人も「離婚した際に、保証人の問題で苦労した」と言っていましたので心配です。
     どうすればいいでしょうか?基本的なことを教えてください。

  • 交通事故について(2004.1.1 No.53)

    Q:私の友人が先日交通事故にあいました。
     事故にあってしまった場合、事故を起こしてしまった場合どうしたらよいか、基本的なことを教えてください。

  • 遺産分割について(2003.8.1 No.52)

    Q:私が死亡した場合、誰が相続人になるのですか、法定相続分はどれくらいですか?

  • 債権の回収について(2003.1.1 No.51)

    Q:私は雑貨の小売業を行うA社を経営しています。以前から取引をしていたB社に対し、最近3ヶ月にわたり雑貨を納品しましたが、支払期日を過ぎてもB社は代金の支払いをしてくれません。
     とにかく売掛金を回収したいと思っているのですがどうしたらよいでしょうか。

  • 更新後の賃貸借契約の保証について(2002.8.1 No.50)

    Q:私は約2年前、知人がマンションを借りた際に、その知人に頼まれて家賃などの保証人になりました。その後、その知人は事業に失敗した様子で、また私とも仕事のトラブルのために親交がなくなり、私はこれ以上保証人でいたくありません。
     まもなく2年の契約期間が過ぎるのですが、期限後は私の保証責任はなくなるのでしょうか。

No.79 離婚後の氏はどうなる?(2017.3.1)

このたび、夫と話し合って、離婚することになりそうです。夫との間には小学生の子どもと中学生の子どもがいますが、子どもたちは、私が親権者となって私と生活する予定です。子どもたちは、自分たちの名字がどうなるのか心配しています。離婚によって名字はどうなるのでしょうか。

 まずあなたの氏(名字)ですが、離婚すると、結婚に際して氏を変えた者は、結婚前の氏に戻るのが原則なので、あなたが結婚によって氏を変えていれば、結婚前の氏に戻ることになります。しかし、離婚の日から3ヶ月以内に役所の窓口に届け出ることによって、結婚中の氏を名乗り続けることも可能です。離婚届と一緒に届を提出することもできます。

 これに対し、お子さんたちは、離婚の際の父母の氏(結婚中の名字)となります。あなたが結婚前の名字に戻る場合は、あなたとお子さんたちの名字が違ってしまうので、家庭裁判所に申し立ててお子さんたちの名字を変更する許可を得ることができます。お子さんたちをあなたの戸籍に入れるにはあなたとお子さんたちの氏が同じでなければなりません。また、あなたが結婚中の氏を選んだ場合であっても、お子さんたちの籍をあなたの籍に移すために、家庭裁判所でお子さんたちの氏の変更許可をもらわなければなりません。

 仕事や学校などで使い続けた氏を変更したくないとか、結婚中の氏は使い続けたくないとか様々な思いがあるでしょうから、お子さんたちとよく話し合ってください。

 なお、やむを得ない事情がある場合は、家庭裁判所に申し立てて氏を変更することもできます。

No.77 これからどうする戦争法(2016.1.1)

憲法に違反する戦争法案が成立してしまいました。これをなくすためにはどうしたらいいですか?

 まずは、「戦争法を廃止する。」という目標で一致できる野党が、当面の選挙で協力し合い、多数派を形成して「戦争法の廃止」を目的とする連合政府を作るという方法があります。

今、自民公明の与党は、多数を握っていますが、そんなことができるんですか?

 現在の小選挙区制では、自民党の議席は多数とは言っても、全有権者の内のたった17%程度の得票率しかありません。昨年の衆議院選挙で沖縄の4つの選挙区で辺野古基地に反対する「オール沖縄」の候補者が当選したように、「戦争法を廃止するオールジャパン」の候補者を多数当選させることが可能なのです。

選挙はいつですか?

 来年の夏に参議院議員の選挙があります。
 まずは、安保法案に賛成した議員は当選させないという意思を投票行動で示すために、多くの人がまず選挙に行くことが必要です。
 そして、衆議院の選挙も控えています。この二つの選挙で実現させた連合政府で戦争法を廃止する法案を上程して、国会でこれを可決すればいいのです。また、内閣としては、「集団的自衛権は憲法9条違反ではない」との閣議決定を撤回する閣議決定をすることになります。
 いずれも、その理由は、『憲法に違反する法律、国務に関するその他の行為は無効』という憲法98条に根拠を持つ正当な法案、閣議決定となります。

今の野党はいろいろ政策について対立があるように見えますが、そんなことができるのですか?

 憲法に明白に違反する法律案を、議事録にも「聴取不能」と書かれているような強行採決という方法で成立させたのです。この法案を廃止することは、野党が今何をおいても解決しなければならない最重要課題です。そのために一致できる限度で重要政策をすりあわせ、争いのある政策はとりあえず棚上げして、この一点でまず共闘することが大切であり、可能なはずです。戦争法案廃案を要求して声をあげた多くの国民も願っていることです。

No.76 「労働審判」のメリット・デメリット(2015.8.1)

先日、長年勤めていた会社を、全く身に覚えのない理由で突然解雇されました。全く納得がいかないので、会社の責任を追及したいのですが、かといって、長い時間をかけて裁判をやるのも億劫です。「労働審判」という制度があると聞いたことがあるのですが、どんな制度ですか。普通の裁判と比べて、何かデメリットはあるのでしょうか。

 労働審判とは、2004年から始まった比較的新しい制度で、個別の労働関係紛争(解雇事件、残業代請求、セクハラ・パワハラの損害賠償請求など)のみが対象とされる制度です。

 一番の特徴は、期日が最長3回までと制限されている点です。この3回の期日の中で、裁判所の主導で話し合いによる解決(調停)を目指して審理が行われます。話し合いが付かないと裁判所が「審判」を下し、当事者のどちらかが異議を申し立てれば民事訴訟に移行しますが、8割方は話し合いで解決すると言われています。しかも、実際は1~2期日で終わることが多いので、早ければ申立ててから1~2か月で事件は終了します。この短期解決が労働審判の最大のメリットです。

 しかし、実質的な審理はほとんど第1回期日でしか行われませんので、民事訴訟のように、複雑な事案をじっくり審理することは困難です。また、基本的には話し合いによる解決(解雇事件の場合でしたら、いわゆる「金銭解決」)を目指す制度ですから、本気で復職を考えるのでしたら、通常の民事訴訟の方が適切かもしれません。

 このように、労働審判には、メリットもデメリットもあり、民事訴訟か労働審判かの選択には、その事案やご本人のご意向、証拠の状況などを踏まえた、経験豊富な弁護士によるアドバイスが不可欠です。お悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

No.75 交通事故について(保険会社に適正な金額を支払わせるために)(2015.1.1)

先日、自動車で交差点で信号待ちのために停車していたところ、後方から走向してきた自動車に自車を追突され、頚椎捻挫(むちうち)と診断されました。病院には6ヶ月間通院しました。先日、加害者が加入している損害保険会社より、示談金の提示をされたのですが、その金額が妥当な金額であるかどうかがよくわかりません。

 本件の事故の場合、追突した加害者に対して、治療関係費、休業損害(事故によって仕事を休まざるを得なくなった減収分など)、傷害慰謝料(怪我をして通院などをしたことの慰謝料)を請求することができます。また、頚椎捻挫について後遺症と認定されれば、さらに後遺症慰謝料(後遺症を受けたことの慰謝料)や後遺症逸失利益(後遺症によって仕事に支障が出るなどの場合に、後遺症がなければ労働により得られたであろう収入)の請求をすることができます。
 自動車の運転者には、いわゆる「自賠責保険」への加入が法律上義務づけられていますが、この自賠責保険では、傷害の場合は120万円、死亡の場合は3000万円、後遺障害については75万円~4000万円の範囲内でしか賠償金は支払われません。そこで、多くの自動車運転者は、自賠責保険ではカバーされない部分を補うために「任意保険」に加入しています。
 しかし、保険会社が提示する金額は、保険会社内部の基準に基づいて算定されており、裁判所で認められる金額よりもかなり低額な場合が多いです。しかも、そのことを知らずに、保険会社の基準による低い金額での示談に応じてしまっているというケースも少なくありません。
 このような場合、弁護士に相談すれば、果たして保険会社が提示している金額が、裁判で認められる金額などに照らして妥当かどうか(不当に低い金額でないかどうか)を判断することができます。
 ですので、保険会社からの提示があった場合、是非1度弁護士にご相談されることをお勧めします。

自動車事故弁護士費用特約付の保険について教えて下さい。

 最近、保険に自動車事故弁護士費用特約が付けられている商品が多くみられます。これは、自動車事故により生命又は身体を害されたり、財物に損害を受け、弁護士への法律相談費用や、損害賠償請求に関する弁護士費用を負担した場合に、一定額を限度としてそれらの弁護士費用が保険会社から支払われるという特約です。
 特に、本件のように一方的に追突されたという事故では、こちら側には過失がないので、保険会社の示談代行制度を使うことができません。しかし、この弁護士費用特約があれば、弁護士を代理人として加害者側と示談交渉や裁判をすることができます。
 また、先に述べたとおり、保険会社の提示する金額は一般に裁判で認められる金額より低額であることが多いです。そこで、この弁護士費用特約を使って、交渉段階から弁護士に依頼すれば、事案にもよりますが、適正な金額による示談の可能性も高まります。
 また、交渉で話がまとまらない場合には、裁判を起こすという方法がありますが、この裁判も、交通事故の裁判実務に精通した弁護士に依頼した方が有利になることが多いものと考えられます。ですから、ご自身の保険にこの弁護士費用特約があるかどうかを確認し、特約がある場合には是非ご活用されることをお勧めします。 

No.74 遺産分割~自分の他に、付き合いのない法定相続人がいたら?(2014.8.1)

私の夫が昨年なくなりました。私には子どもが二人いますが、すでに独立しているので、子ども達は、遺産はすべて私が相続すれば良いと言ってくれました。
夫の遺産は、自宅不動産だけで、預貯金はほとんどなく、生前に引き出してお葬式に使ってしまいました。自宅も一人では広すぎますし、古い建物で、管理も大変なので、売却してマンションに買い換えようと思いました。不動産屋さんに相談したところ、思いの他早く買い取り希望の方を探してくれ、マンションも条件が合いそうな物件が見つかりました。ところが、売却手続きを進めると、夫に別の先妻との間のお子さんが、いることがわかりました。今までは一切直接の交流はありません。どうなるのでしょうか。

 先妻の子も、法定相続人ですので、あなたのお子さんと同じ割合で、法定相続分があります。遺産分割協議をして、その方も含めた法定相続人全員の署名捺印がないと、自宅を売却することはできません。

直接お手紙を出してみましたが、なかなかお返事がありません。

 生前に交流がないと、なかなかご連絡が取りにくかったり、こちらの都合だけで急いでことを運ぼうとすると、感情的に協議が難しくなったりします。弁護士があなたの代理人になり、事情を説明し、順序立てて、交渉していくことはできると思いますので、一度当事務所にご相談下さい。例えば、不動産をこちらが相続し、売買代金から、その方に法定相続分相当の代償金をお支払いすることで、スムーズに売却できるように協力してもらう、といった内容の交渉をお手伝いすることもできると思います。 先妻の子も、法定相続人ですので、あなたのお子さんと同じ割合で、法定相続分があります。遺産分割協議をして、その方も含めた法定相続人全員の署名捺印がないと、自宅を売却することはできません。

No.73 裁量労働制だと残業代はもらえない?(2014.1.1)

コンピューターのデータ処理をする会社に勤めて、データ処理の仕事をしています。毎月の残業が70時間くらいになるのですが、上司からは「君は裁量労働制だから残業代はつかない」と言われました。入社した時の契約書には確かにそのようなことが書いてあります。あきらめなくてはならないのですか。

 裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある労働者については、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。従って例えばみなし労働時間を(所定労働時間と同じ)週40時間と労使が合意しているような場合、週50時間働いても40時間働いたものとみなされ、残業代は発生しません(但し深夜割増や休日割増は発生します)。逆に週35時間しか働かなくても40時間働いたものとみなされますが、そんなケースはあまり聞いたことありません。

 一般的な仕事の進め方のイメージとしては、会社は社員に仕事の内容を説明し期限を指定します。社員は自分で納期までのスケジュールを決め、自由に時間を使って労働します。会社は途中経過を報告させ、仕事が順調に進んでいるかどうかを確認することはできますが、時間配分など仕事の進め方について指示することはできません。

 ところが、裁量労働といっても名ばかりで、会社から業務について細かく指示されて仕事をしている場合や、通常では考えられないような仕事量を与えられて、毎日社員は仕事づけになっているような場合もよくあります。このような場合、裁量労働制の合意は無効だとして残業代の請求はできることになります。

 またこのように不払い残業を横行させる危険があるので、裁量労働制が認められる業務については厚生労働省令により、19の業務に規制されています。あなたの場合、それらの内の「情報処理システムの分析又は設計の業務」に該当する可能性がありますが、その具体的な内容は、①顧客ニーズや業務の分析等による最適なシステムや機種の決定、②入出力・処理手順などの最適なアプリケーションシステムや最適なソフトウェアの決定、③システム稼働後の評価・改善、など相当に高度な知識、技量を用いて裁量的な判断が必要なものに限られます。

 あなたの業務がこのような内容の業務であるのかどうかが問題です。単に会社からの指示に従ってデータの処理をしているだけであるとすると、これには該当しません。その場合も残業代は請求できることになります。

No.72 「夏だ!気持ちよく働き、おいしくビールを飲む秘訣」(2013.8.1)

 梅雨だというのに雨がほとんど降らず、早くも夏の水不足を心配しているのは私だけでしょうか? 今年の冬は例年になく厳しい寒さが続きましたが、最近の夏の暑さも本当に厳しいですよね。 今年の夏も例年とおり猛暑となりそうです。 さて、そんな暑い夏には、アフターファイブのビールが活力源!といった方も多いのではないでしょうか? しかし! おいしいビールを飲むためには、職場でストレスが溜まっていてはいけません。ただのヤケ酒になってしまいますよね。

 そこで、今回は身近でよくある職場の悩みを解決してしまおうかなと思います!

会社の事情で仕方なく、サービス残業や家に持ち帰って仕事をしている。これらの仕事に関して残業代は請求できないの?

 できます。 残業、いわゆる時間外労働は会社と協定(三六協定と言われます)を結んだうえで、八時間労働の例外として許されるものです(もちろん三六協定を結んでない場合でも、残業すれば残業代が発生します)。例外であるからこそ残業に対しては、割増賃金になるわけですね。

 しかし、多くの企業は予算を超える残業代は払わないとか、残業時間の申告の自粛を迫ってくることがあります。いわゆる「サービス残業」の横行です。

 残業代を請求するのは、働く人たちの権利です。

 企業が時間外労働を指令していたか否かにかかわらず、時間外の労働を黙認していれば、その時間は時間外労働に含まれるという裁判例もあります。

 会社に残業代を請求するためにも、何月何日に何時間残業をした、などを客観的に証明できる記録(例えばパソコンのログイン、ログオフ記録)などを残しておきましょう。

女性社員に対して、上司が卑猥な言葉を言ったり、雑用を押し付けてきたりして困っている。何とかならないものか?

 何とかなります。いわゆる「セクハラ」にはどのようなものが含まれると皆さんは思いますか?

 例えば、国家公務員の場合、人事院規則で、被害者を女性に限定せず、職場外での行為も問題にしています。また、性的な言動については、「性的な関心や欲求に基づく言動」以外に、「性別により役割を分担すべきとする意識に基づく言動」などが含まれます。

 「雇用機会均等法」という法律をネットなどで調べてみてください。その第11条に会社はセクハラ防止のために配慮する義務が明記されています。会社側にセクハラを防止する義務があるのですから、セクハラ被害にあった場合には「ノー!」と言いましょう。面と向かって言いにくい場合には、同僚と一緒に意見したり、匿名のアンケート等で工夫して、相手に「ノー!」を伝えるようにしましょう。

 それでもセクハラが続く場合は、女性センター等の相談窓口を叩いてみましょう。もちろん当事務所の弁護士にご相談いただいてもかまいません。

 いずれにせよ、セクハラ被害を受けた客観的な証拠(会話の録音テープ)など、負担にならない範囲で集めておくとよいでしょう。

 このほかにも、配転・出向、派遣、過労死…職場の問題は挙げればきりがありません。どうか、お一人で悩まずに、ご家族や近しい友人に相談してみてください。当事務所にご連絡いただければ、労働問題において経験豊富な弁護士が対応いたします。

 それでは最後に、皆さんが気持ちよく働き、おいしいビールが飲める夏であることを願って、カンパ~イ!!

No.71 改正労働者派遣法について(2013.1.1)

私は、前の会社を解雇されて以来、正社員としてなかなか採用してもらえず、今は派遣会社に登録し、いくつかの派遣先を転々とし、今は電機メーカーの工場に派遣されています。この工場では1年以上派遣されていますが、いつまた契約が更新されず、職を失ってしまうのではないかと、とても不安です。最近、労働者派遣法が改正されたと聞きましたが、その改正によって、このような私の不安定な生活が改善されるようなことはあるのでしょうか。

 2012年3月28日、労働者派遣法の改正法が成立し、同年10月1日より施行されました。もともとの政府案では、不安定雇用の大きな原因といえる、登録型派遣業や製造業への派遣を原則禁止するという規定がありましたが、与野党3党合意により、この規定は削除されてしまいました。また究極の不安定雇用ともいえる日雇派遣についても、3党合意により、禁止される範囲が雇用期間2ヶ月以内の日雇派遣から雇用期間30日以内の日雇派遣にまで縮小されてしまいました。これらの点で、改正法は、労働者の保護の観点からとても不十分なものになってしまいました。

 あなたの場合、製造業への派遣ですが、今回の改正ではこのような派遣も許されるということになってしまいました。

 改正法では、不十分とはいえ、労働者保護のための以下のような規定も設けられました。
①派遣会社に、マージン率等の公表が義務づけられた。
②派遣会社に、派遣先正社員との均等待遇に配慮すべき義務が課せられた。
③派遣会社に、雇用期間が通算1年以上の派遣労働者に対する、無期雇用への転換の機会の提供や紹介予定派遣の対象とするなどの措置をとるよう努力すべき義務が課せられた。
④離職後1年以内に、派遣労働者として元の派遣先に派遣することが原則禁止された。

 あなたの場合、同じ派遣先で同じ業務に1年以上従事していますから、もともと旧法下でも、派遣先に対して直接雇用するよう要求できた可能性があります(改正法40条の3)。しかし、改正法の下ではさらに、派遣会社に対しても、上記③のとおり、無期雇用への転換の機会の提供や、派遣先に対する直接雇用のあっせんを予定して行われる紹介予定派遣の対象とすることなどを、要求することができる可能性があります(改正法30条)。

 派遣労働者の皆さんは、このような派遣法の規定を知らず、損をしていることも多々あるのではないかと思います。もし少しでも疑問に思われたことがあれば、ぜひ気軽に、弁護士にご相談ください。

No.70 リフォーム詐欺にご注意!(2012.8.1)

一人暮らしをしている高齢の母(X)の自宅にリフォーム業者(Y社)がやってきて、リフォーム工事契約とクレジット契約を締結させられてしまいました。母に事情を聞くと「耐震性の無料点検をします。」と言って家に上がり込まれ、「このままではちょっとした地震でも倒壊しますよ。」と言われてよくわからないままに契約を締結してしまったそうです。数日後、建築士にみてもらったところ、必要のないリフォーム工事であることがわかりました。これらの契約を白紙に戻すことはできないのでしょうか。

 近年、判断力の乏しい高齢者等の自宅を訪問して執拗な勧誘を行い、必要のないフォーム工事契約を締結させる、いわゆる「リフォーム詐欺商法」が社会的にも問題となっています。

 このようなリフォーム契約を締結してしまった場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

 まず、本件のような訪問販売の場合、Xさんは、クーリング・オフをして契約を解消することが可能です(特定商取引法9条)。クーリング・オフは、業者が注文者に対して交付しければならないと法律で定められている書面(法定書面)を受領した日から8日以内に行う必要がありますが、その書面に不備がある場合には8日を経過していてもクーリング・オフが可能です。また、Y社が、事実と違うことを告げ(不実の告知)、または故意に事実を告げなかった(事実の不告知)等の事情がある場合には、特定商取引法や消費者契約法によって契約を取り消すという方法もあります(特定商取引法9条の3、消費者取引法4条)。その他にも、民法上の詐欺取消(96条)、錯誤無効(95条)の主張をして契約を白紙に戻す方法もありますし、契約時の状況や契約内容によっては、強迫による契約取消や意思無能力による契約無効などの主張が可能な場合もあります。

 クレジット契約についても、割賦販売法によってクーリング・オフが認められています(同法35条の3の10)。また、Y社がXさんに不実の告知等を行っていれば、クレジット契約そのものを取り消すことも可能です(同法35条の3の13)。

 建物の耐震診断はそう簡単にできるものではありません。即決せずに信頼できる建築士にみてもらいましょう。リフォーム業者の言葉に惑わされ、安易に契約を締結しないことが肝心です。もし、万が一、このような悪徳リフォーム業者と契約を結んでしまった場合でも、上記のように様々な救済方法がありますので諦めずに弁護士までご相談下さい。

No.69 更新料特約は有効か!?(2012.1.1)

私は、自宅アパートを2年間の契約期間で借りています。大家さんとの間の賃貸借契約には、この契約期間が満了して賃貸借契約を更新する場合には、賃料の2ヶ月分を更新料として支払うという文言が記載されています。このような更新料を支払う旨の約束は法的に有効なのでしょうか?
また、この約束が有効であるとして、私がこの約束に反して更新料を支払わなかった場合、直ちにアパートを出ていかなければいけないのでしょうか。

 更新料とは、一般に、土地、建物の賃貸借契約が更新される際に、家賃とは別に更新の対価として大家さんに支払われる金銭のことを言います。アパートやマンションなどを借りる際、賃貸借契約書には通常契約期間が定められており、契約期間が満了して契約を更新する場合には、大家さんに更新料を支払う旨の特約が規定されていることが多いです。このような更新料を支払う旨の特約は法的に有効と言えるでしょうか。

 近時、いくつかの地方裁判所や高等裁判所で、この更新料の特約が消費者契約法10条に違反して無効であるという判決が出されていました。消費者契約法10条は、「民法、商法(…)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」と規定されています。

 たとえば、京都地裁平成21年7月23日判決は、賃貸借契約締結時に更新料条項の趣旨を大家が具体的かつ明確に説明しなかったことなどを理由に、また大阪高裁平成21年8月27日判決は、1年ごとの更新料が家賃の2ヶ月分余りであるという事案で、更新料が高額であるということなどを理由に、更新料特約は消費者契約法10条に違反して無効であるとしていました。その一方で、更新料特約は法的に有効であるとした高裁判決もあり、最高裁判決の結論が待たれていました。

 しかし、最高裁平成23年7月15日判決は、更新料条項は、額が賃料の額や賃貸借契約が更新される期間などに照らし、高額すぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「民法に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと判示しました。

 したがって、この最高裁判例によれば、賃貸借契約期間が2年間で、更新料が家賃の2ヶ月分という更新料特約は、特段の事情がない限り法的に有効ということになります。

 ただし、更新料特約に違反して更新料を支払わなかったとしても、大家さんが賃貸借契約を解除するためには、信頼関係を破壊する特段の事情が必要ですし、更新拒絶をする場合には借地借家法に規定された「正当事由」の存在が必要です。ですから、この更新料不払いが、信頼関係を破壊する特段の事情や「正当事由」に当たると認められなければ契約の解除や更新拒絶は認められません。

 微妙な判断にはなりますが、様々な事情で更新料を支払うことができないという場合、一般的には直ちにアパートを出ていかなければならないということにはなりません。このような場合は遠慮なく弁護士にご相談下さい。

No.68 DV(ドメスティック バイオレンス)勇気を出して相談を!(2011.8.1)

1才の子どもがいる主婦です。夫の暴力がひどく、このままではとても耐えられず、家を出ようかと考えています。ただ、身寄りがなく、子どもが小さいためすぐに子どもを預けて働きに出るのも難しいので、とても困っています。

 とても、大変な目に合っているのですね。お子さんもまだまだ小さく大変ですね。
 まず、暴力について警察や配偶者暴力相談支援センター、自治体のDV相談窓口に相談してみましょう。内閣府男女共同参画局が設置する全国共通ダイヤル(0570-0-55210)に電話をすると、最寄りの相談窓口の連絡先を教えてもらえます。
 すぐに解決する訳ではありませんが、悩み事を相談できるだけでも気持ちが軽くなることがありますし、調停、訴訟で相談したことが有利な材料になることもあります。

相談しても、住む場所や生活費がないと家を出られませんよね。

 相談すると、暴力があるとの事であれば、一時避難所に入所が可能になったり、一時避難所に避難してその間に生活保護を受給することも可能です。

婚姻費用分担請求というものがあると聞いたのですが、自分から家を出てももらえますか。

 夫婦には、一般に同居義務がありますが、正当な事由があれば別居は可能です。暴力により同居が困難な場合は、それにあたります。その場合、婚姻費用を請求できます。婚姻費用はその資産、収入、社会的な地位に応じた通常の社会生活維持するために必要な費用で夫婦で分担するものです(民法760条)。

 双方の話し合いで支払って貰えればそれでもいいですし、家庭裁判所に調停を申し立てて調停で話し合って決めることも可能です。額は、双方の収入、お子さんがいる場合はその数、お子さんの年齢を考慮して作成された算定表があり、それで算出される大体の金額を基本にして話し合います。
 調停で話し合いがつかないときは審判に移行し、裁判所に決めて貰うことが出来ます。
 審判の場合には、算定表に従い、申立時からの支払を命じることが多いです。
 審判で支払が命じられたにも拘わらず、婚姻費用を支払って貰えないときには、相手の給料の差押えをすることができます。
 差押えは通常の場合は、給料の4分の1までが限度となっていますが、婚姻費用の場合には2分の1まで差押えが可能です。

 これは逆に言えば、それまでの不払いの期間が長ければ長いほど差押えで支払義務者の生活を厳しいものにする可能性もあります。支払う側はその事も考慮した方がいいでしょう。
 なお、婚姻費用の調停、離婚の調停は、住所を明らかにすると相手が自宅にやっ

No.67 がんばれ イクメン(2011.1.1)

最近「イクメンのすすめ」という話しをよく聞きます。「育児に積極的に取り組む男性」のことを言うらしいです。僕も、せっかく子供が生まれるのだから、妻任せにしないで育児にチャレンジしたいのです。
でもうちの会社は妻が専業主婦の場合には、育児休業がとれないという労使協定があるのです。やはり育児休業を取るのは無理なのでしょうか?

 子供の育児に父親も母親も共に責任をもって、参加するのは素晴らしいことです。最近は男性も「妻の手伝い」ではなく、主体的に育児を担いたいとして、育児をライフスタイルの中心にすえて生活する人たちが増えています。子供は3歳までに一生分の親孝行をする、と言われるほど、幼い子供の成長は親に日々素晴らしい感動と喜びを与えてくれます。男性であっても妻が専業主婦であっても、育児を担いたいという思いに変わりはないはずです。

 育児介護休業法では男性も女性も共に家族的責任を負うという前提のもとで、男女がともに、育児休業をとることができます。1981年に制定された法律ですが、その後何回も改正を重ねてきました。まだまだ男性の取得率は女性に比べて低いですが、2009 年7月にも改正されて、働くパパが育児休業を取りやすくなりました。その結果、あなたの会社のように、労使協定で専業主婦(夫)の配偶者を除外するという制度を廃止しました。このような労使協定があっても、これを理由に拒否することはできません。あなたは育児休業をとることができます。積極的に申し出て、赤ちゃんとの貴重な時間を大切にお過ごし下さい。

てきて暴力を振るわれるなどの恐れがある場合には、現在の住所を相手に明らかにしなくても可能ですし、裁判所は調停の際に相手に会わないように配慮してくれます。気軽に弁護士にもご相談下さい。

No.66 成年後見制度(2010.8.1)

テレビや新聞で認知症などで判断能力が低下した高齢者が悪徳商法などの被害にあっていることを見聞きしますが、このような被害を防ぐための制度はないのでしょうか?

 精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により、契約などの法律行為を適切に行うための判断能力が失われている、もしくは不十分な状況にある場合、本人だけで契約などを行うと、ご質問のように本人に不利な結果をもたらすことがあります。そこで、そのような人を保護・支援するために、家庭裁判所が援助者を選び、援助者が本人のために活動する「成年後見制度」という制度があります。

 具体的には、この援助者が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自ら法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消すことによって、本人を保護・支援します。

成年後見制度にはどのようなものがあるのでしょうか?

 成年後見制度には、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」という2つの制度があります。

 まず、「法定後見制度」とは、家庭裁判所が本人の判断能力の低下の程度に応じて後見人、保佐人、補助人と呼ばれる援助者をつける制度です。「後見」というのは本人の判断能力が全くない状態のことで、「保佐」というのは本人の判断能力が失われていないものの、著しく不十分な状態であり、自己の財産を管理・処分するにあたって、常に援助が必要な状態のことで、「補助」は、本人の判断能力が不十分な状態で、自己の財産管理・処分に援助が必要な場合のことです。本人の判断能力が低下した時に、本人ないし近親者等の一定の申立権者が、家庭裁判所に後見・保佐・補助開始の審判を申し立て、家庭裁判所が後見・保佐・補助開始の審判をすると、後見人・保佐人・補助人が選任され、本人のために財産管理などの援助をします。

 次に、「任意後見制度」とは、本人の判断能力が十分あるうちに、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人と呼ばれます。)に財産管理などに関する事務についての代理権を与える契約を公証人の作成する公正証書で結んでおくものです。そうすることで、本人の判断能力が低下した段階で任意後見人が上記契約で決めた事項について本人の援助を開始することになります。また、任意後見開始の段階で、家庭裁判所が任意後見監督人と呼ばれる監督者を選任し、事務処理の適正さが担保されるようになっています。前述の法定後見制度と比較すると、本人が任意後見人を自ら選ぶことができ、さらに援助の内容も自ら決めることができるという点に特徴があります。

 以上のとおり、現在、本人の意思や判断能力の程度に応じて多様な制度が整備されていますので、制度の活用にご関心がある方はぜひご相談下さい。

No.65 女性差別撤廃条約について(2010.1.1)

「国連で『女性差別撤廃条約」が採択されてから30年」というニュースを見ました。そもそも「女性差別撤廃条約」とはどのような条約なのでしょうか?
また、この条約に関する日本の現状について教えてください。

1 女性差別撤廃条約とは?
 女性差別撤廃条約は、正式名称を「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」といい、あらゆる分野の女性の権利について規定し、「世界女性の憲法」とも呼ばれています。現在、国連加盟国192カ国中186カ国で締結されています。
 あらゆる女性差別をなくすために、国連で1967年に「女子に対する差別の撤廃に関する宣言」(女性差別撤廃宣言)が採択されましたが、この宣言は法的拘束力がなく、徹底した男女役割分担概念の撤廃まで達していない点で問題がありました。そこで、1972年に国連は、女性差別撤廃条約の制定を目指し、1975年を「国際婦人年」、翌年からの10年を「国連婦人の10年」として、女性の地位向上のために活発な活動を展開してきました。
 そして、1979年に国連で採択されたのが女性差別撤廃条約です。

2 女性差別撤廃条約の内容は?
 女性差別撤廃条約は、「男は仕事、女は家庭」というような固定化された男女役割分担の考え方をなくすことを基本的な理念として、あらゆる男女差別の撤廃(役割に基づく偏見等の撤廃、人身売買・売春等の搾取の禁止、政治的・公的活動における平等、教育における差別の撤廃、雇用における差別の撤廃等)を締結国に義務づけています。そして、法令上だけでなく、事実上、慣行上の差別も禁止し、また、公の生活だけではなく、私生活においても女性の権利を保障しています。
 そして、条約締結国の条約実施状況を検討するために「女性差別撤廃委員会」(CEDAW)という機関を設置し、条約締結国に4年毎に報告書を提出させ、これを審査し、勧告を出す制度も設けられています。

3 女性差別撤廃条約の批准と日本の変化
 日本は、1980年に条約に署名し、1985年に条約を批准しました。しかし、批准に至るまでには、様々な法律を整備することが必要でした。そこで、日本は、条約を批准するために、①国籍法の改正、②高等学校の家庭科共修の実現、③男女雇用機会均等法の制定などを行いました。
 また、条約批准後も、児童買春・児童ポルノ禁止法、DV防止法、男女共同参画社会基本法などの制定に取り組んできました。

4 今後の課題
 このように、女性差別撤廃条約の批准をきっかけに、日本の男女平等への取り組みは飛躍的に進みました。
 しかし、まだ、セクシュアル・ハラスメントの問題や、同一価値労働同一報酬の原則の導入など解決しなければならない課題が多数残っています。
 また、個人通報制度(個人が国内の救済手段を尽くしても人権侵害などが救済されない場合に、直接女性差別撤廃委員会に申立てし、審査を受けることができる制度)を定めた選定議定書が1999年に国連で採択されましたが、日本はまだこの選択議定書を批准していません。
 さらに、日本は女性差別撤廃委員会からは、女性差別の解消に向けた政府の取り組みが不十分であることを厳しく指摘する勧告が行われています。
 日本は、条約締結国として、女性差別撤廃に向けて今後更なる取り組みが求められています。

No.64 そうだ、生活保護を受けよう!(2009.8.1)

 昨今の金融不況の最中、生活自体がたち行かないというご相談をよく受けます。私自身、今年に入ってから生活保護申請事件が非常に増えています。そこで、今回は、生活保護に関する典型的な質問にお答えします。

生活保護はどういう場合に利用できますか?

 憲法25条では生存権が保障され、それを受けた生活保護法1条で、国がすべての国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障し、困窮の程度に応じて必要な保護を行うとしています。したがって、この「最低限度の生活」を下回る生活を余儀なくされている人、言い換えれば「最低生活費」を下回る収入しかない人は、原則として皆生活保護を利用できます。

 たとえば、東京都の1級地-1の地域(たとえば世田谷区や目黒区)の場合、単身者の最低生活費は、住宅扶助費は上限5万3700円の実額、生活扶助費は約8万円ですから、概ね13万円以下の収入しかない人は差額について生活保護費の支給を受けることができます。

借金があると生活保護は受けられないのですか?

 結論から言うと、借金があるから生活保護を受けられないということはありません。ただし、本来、保護費はあくまで最低生活の維持のために使うものであり、保護費を借金の返済に充てることはできません。ですから、借金がある場合は、弁護士に依頼して自己破産等の手続で借金を整理することを検討すべきです。逆に言えば、「弁護士に依頼して借金を法的に整理する予定である」ということを説明できれば、福祉事務所側も安心して保護を開始することができます。

持ち家に住みながら生活保護を受けることは可能ですか?

 自己所有の土地・家屋に居住していることを理由に生活保護を断られることはあってはなりません。むしろ、厚労省の通知によれば、「処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められる場合」を除き、原則として世帯の用に供されている不動産は保有を認めることとされています。ただし、平成19年度より、持ち家に居住している世帯で世帯構成員の中に満65歳以上の方がおられる場合(当該世帯構成員の配偶者が満65歳未満である場合を除く)には、生活保護を利用する前にまず各都道府県社会福祉協議会の行う「要保護世帯向け長期生活支援資金」の貸付けを受けることが条件となりました。

 この制度は、一定の貸付限度額に至るまで毎月決まった額の融資を受け、限度額に達した段階で貸付けがストップされるという制度です。債務を担保するために不動産に抵当権が設定され、原則として本人死亡時にまとめて償還がなされます。この制度はリバースモーゲージと呼ばれています。

住所がない場合には生活保護は受けられないのですか?

 よくこのように誤解している人がいますが、住所がなければ生活保護が受けられないなどというのは全くのでたらめです。生活保護法は住居を有しない人を保護の対象者として予定しています(法19条2項2号)。住居のない人に対する保護を「現在地保護」と言い、その人が現在いる場所を所管する福祉事務所が管轄の実施機関となります(法19条1項2号)。したがって、いわゆる野宿生活者などが福祉事務所に相談に来た場合には、今現在福祉事務所にいることから、福祉事務所の所在地を「現在地」として保護を開始しなければなりません。さらに、厚労省の実施要領によると、「保護開始時において、安定した住居のない要保護者(保護の実施機関において居宅生活ができると認められる者に限る)が住宅の確保に際し、敷金等を必要とする場合」には敷金等の支給を認めても差し支えないとされています(局長通知第7の4(1)キ)。したがって、敷金等のアパートへの転居費用も生活保護費から支給されることになります。

生活保護の申請を弁護士に頼むことはできますか?
また、弁護士に頼んだ場合、費用はどうなりますか?

 単独で福祉事務所に生活保護の申請に行っても、いわゆる「水際作戦」と言って、保護受給率を下げるために窓口で相談者を追い返すという違法な対応をする職員もいます。ですから、生活保護の申請も弁護士に依頼する方が確実です。また、弁護士費用の点ですが、現在は、日本弁護士連合会が日本司法支援センター(法テラス)に委託して実施する「自主事業」の一つとして、生活保護申請に関する援助事業が行われています。したがって、生活保護に関しては、法律相談及び生活保護申請について、一定の要件を満たせば弁護士費用は法テラスから支給され、ご本人が弁護士費用を負担することはありません。当事務所にもお気軽にご相談下さい。

No.63 インターネット上の名誉毀損(2009.1.1)

インターネットを見ていたら、とある掲示板で、私の実名をあげて、全く身に覚えのないことを書き遵ね、私のことを侮辱するような書き込みを発見しました。誰が書き込んだのがはわかりませんが、ネット上で私に関する嘘の噂が広まるのは耐えられません。どうしたらよいでしょうか。

 インターネット上の名誉毀損の場合でも、採りうる法的手段は、基本的には通常の名誉毀損の場合と同じです。つまり、名誉毀損表現をした本人に対し、その表現をやめるように請求し、やめない場合はその表現の差止や、場合によっては名誉毀損を理由に損害賠償を請求していくことになります。
 ただし、インターネット上の名誉毀損表現の最大の特徴は、その匿名性です。つまり、このような書き込みをする人(発信者)は、本名を名乗ること|よほとんどなく、通常「ハンドルネームJというあだ名のようなものを使います。そのため、加書者を特定することができないのです。

 そこで、掲示板の管理人やプロバイダーに対し、発信者が誰であるか、情報を開示するよう請求するという方法が考えられます。2002年から施行されたいわゆる「プロバイダー責任制限法」は、4条1項で、一定の要件のもと、プロバイダーや管理人が発信者の情報を開示しなければならないと定めています。この法律を根拠に、管理人などに、当該書き込みをしたのが誰であるのか教えるように請求することができるのです。その上で、発信者に対し肖」除の要求や損害賠償請求をすることになります。

 ただし、発信者に対する請求は、このようにプロバイダー等に対する開示請求を経なければならず時PcDも手間もかかります。そこで、もう一つの方法として、プロバイダーや掲示板の管理人等に対し書き込みの削除や損害賠償を請求する方法があります。
 プロバイダー責任制限法は3条1項で、プロバイダーや管理人|よ「他人の権利が侵害されていることを知ったとき」または「知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき」にしか 損害館償責任を負わないと定めています。逆に言えば、そのような場合に該当するのであれば、プロバイターや管理人に対する損害賠償請求が認められる場合があるとしているのです。

 また、幾つかの下lII審半↓例では、掲示板上で名誉毀損表現が書き込まれた場合、一定の場合に掲示板の管理人にその書き込みの削除義務が生ずることを認めています。したがって、これらの半」例を根拠に、プロバイダー等に記事の削除を請求するという方法を採ることもできます。
 以上の各請求ついて、もちろん裁判に訴えることもできますが、プロバイダー等との交渉で解決する場合も少なくありません。最良の解決策は、事件によって、相手方によって異なります。是非、弁護士に相:木されることをお勧めします。

No.62 離婚に伴う年金分割制度(2008.8.1)

今年から離婚の際には強制的に夫の厚生年金が分割されるようになったと聞きました。詳しいことを教えて下さい。

 今年の4月からサラリーマンの妻(内妻も含みます)が離婚に際して社会保険事務所に請求すると,夫の厚生年金は,今年の4月1日以降の分については強制的に2分の1が分割されます。
 昨年4月に初めて年金の分割制度ができました。それによると,平成19年4月以降に離婚した場合は,年金の分割を請求できることとされましたが,どのようにわけるかを夫と合意して公正証書にすることが必要であり,合意ができない場合は家庭裁判所に申立てをして分割割合などを決めてもらわなくてはなりませんでした。
 今年の改正は合意なしで強制的に2分の1を分割することとしたわけですが,これはあくまで今年の4月1日以降の分に限られており,それ以前の年金納付分については従来と同様同意が必要とされます。

分割された年金を受給するための資格はどのようなことですか。

 年金(老齢年金)を受給するためには,通算して25年以上,公的年金に加入していなくてはなりません。サラリーマンの妻は多くの場合「第3号被保険者」として加入されていますが,その手続きがされていない場合もありますので社会保険事務所で確認してみて下さい。25年に満たない場合は離婚後も公的年金に加入する必要があります。
 年金を受け取れるのは,原則として貴方が65歳になってからであり,離婚してすぐ受け取れるわけではありません。

分割した場合,どのくらいの年金額になるかは調べられますか。

 社会保険事務所に行って,情報提供請求をして下さい。年金手帳(または年金番号通知書)と戸籍謄本があれば夫の年金情報を開示してもらうことができます。その際に請求すれば,50歳以上の方については分割した場合の老齢厚生年金の見込額を教えてもらえます。

夫とはほとんど家庭内別居の状態です。定年まであと10年ありますが,年金分割ができるなら離婚してしまおうかとも考えています。

 分割されるのは厚生年金(報酬比例部分)のみで老齢基礎年金部分は分割されませんから,夫の年金総額の半分がこちらに来るというわけではありません。金額だけ考えれば遺族年金(年金額の4分の3)の方がお得です。年金分割があるから,離婚しても老後は安心ということになはなりませんが,これまで経済的自立が困難なため,離婚できないケースが多かった専業主婦にとっては大きな前進でしょう。
 今後の長い貴方の人生,悔いが残らないよう前向きに決断していくことが大切だと思います。

No.61 危急時遺言について(2008.1.1)

私には弟がいますが、今、病院で危篤状態です。弟は結婚しておらず、子どもはなく両親もすでに他界しています。他に兄弟が2人います。弟には土地位しか財産はありません。弟は私が弟の面倒を看ていたことから「土地は姉さんに相続させる。」と常に言っていました。
しかし、弟は突然救急車で運ばれて病院に入院してしまい、生死をさまよう状態です。遺言書は作成していません。弟は何とか話しはできますが、記述したり、署名することまではできそうもありません。どうしたらいいでしょうか。

 そのような緊急時のために、遺言の特別方式として危急時遺言というものがあります(民法976条)。以下のような条件を満たせば遺言が成立します。
 ①遺言者が疾病その他の事由で死亡の危急に迫られていること
 ②証人3人以上の立会があること
 ③証人の1人に対して遺言者が遺言の趣旨を口授すること
 ④口授を受けた証人はこの口授を筆記すること
 ⑤遺言者と他の2人の証人に対して筆記を読み聞かせるか閲覧させること
 ⑥各証人が筆記が正確なことを承認した後に署名、押印すること。

 さらに、危急時遺言は必ず遺言の日から20日以内に証人の1人又は利害関係人から家庭裁判所に請求をして確認を得なければ効力が生じません。さらに裁判所が確認をするためには遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければなりません。なお、遺言者が回復して普通方式によって遺言をなしうるようになってからさらに6ヶ月生存したときは、危急時遺言は失効します(民法983条)。
 このように緊急の場合には、口頭での遺言が認められています。ただ、危急時遺言は緊急時のものであることから、方式の欠如などを理由に有効無効が争われることが多いため、自分の意思を確実に実現させるためには、公正証書遺言を作成しておいた方が望ましいと言えます。遺言作成等について疑問等あればご相談下さい。

No.60 マンション管理の問題(2007.8.1)

私は築4年のマンションに住んでいますが、管理費を4年間ずっと滞納している区分所有者がいます。また、最近、庶民増税のせいか、新たに滞納するようになった区分所有者も数名います。
マンションの管理組合としては、どのように対処したらよいでしょうか。

 どうしても払わないなら、裁判を起こす必要があると思います。区分所有法47条8項には「管理組合法人は、規約または集会の決議により、その事務に関し、区分所有者のために、原告または被告となることができる」とあります。管理費を長期滞納する人から取り立てるのはなかなか大変ですが、判決を得れば差押などもできます。ところで、あなたのマンションの規約には、どのように記載されていますか。

今の規約では、訴訟は集会の普通決議によるとなっていますが、いちいち普通決議が必要だと大変なのですが。

 マンション管理組合の集会などは、民主主義によってマンションを運営するためのものなので大事なのです。ただ、未納の管理費を回収するには5年の時効があるので、機敏な対応が必要です。国土交通省が公表している標準管理規約60条3項では次のように定めています。「理事長は、未納の管理費等及び使用の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる」。そこで、長期滞納者の件だけでなく、今後のことも考えれば、規約改定も検討してもよいと思います。法的な手続きを取る時は、総会の普通決議ではなく、理事会の決議ですぐにできるようにする、との改定するのです。
 もっとも、規約変更は、必ず集会の特別決議によらなければならならず、簡単ではありません。集会の決議には、普通決議と特別決議があります。普通決議は区分所有者および議決権の過半数による決議であり、特別決議は4分の3以上の決議です。 そうした厳格な手続きを条件に、理事会の決議で訴訟を遂行できるようにするのです。そもそも、特別決議をするには、多くの区分所有者で議論をして集会への参加を求める必要があります。そうした議論をする中で、各区分所有者の意識も高まり、管理費を滞納する人もいなくなったりしますよ。その過程が大事だと思います。

 ただし、管理組合の理事は持ち回りであることが多く、理事会の決議で簡単に裁判を起こせるようにしてしまうと、心配な点もあります。訴訟が起こせる対象を、管理費等の未納分徴収など迅速性を要する事項に限定することも検討するとよいでしょう。

No.59 建物の明渡と立退料(2007.1.1)

私は,自分の土地に建てた家を人に貸していました。今度その家をリフォームして,私自身がその家に息子夫婦と一緒に住もうと思い,借家契約の期間満了に伴い,契約更新を拒絶して,借家人に建物の明渡しを求めました。ところが,借家人は立退料を要求してきました。
私は,立退料を支払わなければいけないのでしょうか。また支払わなければならない場合,いくら支払えばいいのでしょうか。

 契約の期間満了に伴い,家主が契約更新を拒絶するためには,自ら建物を使う必要があるなどの「正当の事由」が必要とされています(借地借家法28条)。
 この「正当の事由」があるかどうかは,家主側の事情と借家人側の事情を比較衡量して判断されます。具体的には,
 ①家主及び借家人がその建物の使用を必要とする事情がどの程度あるかどうか
 ②借家契約についてのそれまでの経緯(賃料の滞納,賃料の額など)
 ③建物の状況(建物の解体・修繕の必要性など)
 ④借家人の資産状況
 ⑤立退料の提供の有無やその金額
などが総合的に考慮されることになります。

 このとき,家主がその建物を自己使用する必要があるというだけでは,「正当の事由」が認められないとされることがあります。そこで,補完的に,相当額の立退料の支払いをすることによって,「正当の事由」があると認められるというケースが多くあります。
 では,相当額の立退料というのはどうやって決められるのでしょうか。この基準は,一概には言えませんが,一般的には,借家人の引っ越し費用,新しい建物を借りる際に必要となる敷金・礼金等の実費,借家権の財産的価値などを総合的に判断して決められます。ただ,その金額も,ほかの「正当の事由」がどの程度具備されているかということも影響してきますので,実際にどの程度の金額が相当額といえるかはケースバイケースです。借家人と話し合ってみて話がまとまらないようであれば,一度弁護士に相談されることをおすすめします。

No.57 クーリングオフって何?(2006.1.1)

自宅に来た訪問販売員にしつこく勧誘されて、化粧品を買わされてしまいました。一旦は一応納得して契約しましたが、後でよく考えると、必要のない物を強引に買わされたので、納得がいきません。このような契約を解消する何か良い方法はありますか。

 このような場合には、クーリング・オフという制度によって契約を解除することが考えられます。クーリング・オフというのは、消費者が契約の締結等をした場合でも、一定期間に限って消費者に熟慮する期間を与え、その期間内に必要がないと判断した場合には、消費者から一方的に契約の解除をすることができるという制度です。「クーリング・オフ」とは、文字通り「頭を冷やして考え直す」機会を与えたものです。
 ただし、このクーリング・オフ制度は、法律で定められた一定の取引に限定されており、例えば、訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、海外先物取引などがその典型です。また、このクーリング・オフを利用できる期間は、訪問販売で8日間、連鎖販売取引で20日間というように、それぞれ短期の期間に限られています。

 本問では、訪問販売の事例ですから、契約の内容を明らかにした書面(契約書の控えなど)を業者が交付した日から起算して8日以内に行使しなければなりません。ただ、8日以内にクーリング・オフの通知を発信すればよく(つまり、クーリング・オフ期間最終日の消印で通知書を送付すればよい)、その通知が8日以内に事業者に到達することまでは必要ありません。また、行使方法としては、口頭でもかまいませんが、クーリング・オフの事実を証明するための重要な証拠となるので、内容証明や配達証明付の文書で行うべきです。

 クーリング・オフを行うと、事業者の同意などは必要なく、当然に、一方的に契約は最初に遡って無条件で解除されます。よって、既に支払った代金は返還請求できますし、商品が引き渡されている場合には、事業者の費用負担で引き取るように要求することができます。

No.56 交通事故を起こしてしまったら(2005.8.1)

昨日、仕事で自動車を運転中、交差点で接触事故を起こしてしまいました。青信号に従って右折しようとしたところ、前方から直進してきたバイクに気づかず、あわててブレーキを踏んだのですがぶつかってしまいました。反対車線にも右折車が止まっていて、その影からバイクが高速度で飛び出してきたので、直前までよく見えなかったのです。
損害賠償については、私にはどの程度の責任が生じるのでしょうか。

 直進車両が優先されますから、基本的には右折車側に過失があるということになります。とはいえ、交差点では直進車にも状況に応じた注意義務がありますから、バイクにもある程度の過失割合が認められるのが通常です。一般的には、直進バイクには基本的に15%程度の過失があると解されているようですが、これは基本的な過失割合であり、実際の過失割合は事故時の状況に応じて加減して判断されます。本件では、バイクは右折車両の影から高速で進入してきたとのことですが、その際の速度超過の程度等を勘案して過失の程度を考えることになるでしょう。

バイクの方は、幸い大きな怪我はなさそうなのですが、頸のあたりが変だと言っています。病院に行ってくださいとお願いしましたが、今後、どのようなことになるのでしょうか。

 まず当然のことですが、事故を起こした場合はすぐに警察に事故の届けをして下さい。運転者の義務ですし、今後賠償保険の適用に際しても、事故の届出がなされていることが必要になります。その上で、相手の怪我の状況に応じて、生じた被害を、前述の過失割合に応じて弁償することになります。現実には治療が済まないことには、治療費も慰謝料も確定しませんから、きちんと治療してもらい、怪我が治った時点で示談を整えた上で支払うことが通常です。
 任意保険に加入しているのが通常ですが、その場合は保険会社に届けて下さい。示談交渉も保険会社が代理人として行う約定になっていることが多いと思います。相手の方が怪我をしたかもしれないということなら、被害者から診断書や休業損害の証明書等、被害を証明する資料を提出してもらい、被害の状況や損害額を確かめて、あなたの責任の範囲を確定することになります。

 なお、被害者には自賠責保険の被害者請求の制度もありますので、こうした制度を使ってもらうことも可能です。

No.55 離婚について(2005.1.1)

結婚して10年が経ち小学生の子どもがいます。夫に交際している女性がいることがわかったので、離婚することを考えています。離婚するにはどうすればよいのでしょうか。
また、夫に金銭的な要求をすることができますか。

 まず、一番多い方法が、夫婦で話し合って離婚を決め、離婚届を役所に提出する協議離婚です。未成年の子どもがいる場合は、父母のどちらが親権者になるのか決めなければなりません。また、証人2名の署名押印が必要です。

 話し合いで決まらない場合は、裁判所を利用することになります。その場合は、まず家庭裁判所へ調停を申し立てます。調停を飛び越えて直ぐに裁判を起こすことはできません。調停は男女の調停委員2名が当事者それぞれの言い分を聞きながら解決策を探る手続で、当事者双方が納得して合意することにより成立します。調停が成立しなかった(「不調」となった)場合に、さらに手続を進めたいのであれば家庭裁判所に離婚を請求する裁判を起こすことになります。民法は、離婚が認められる事情を
 ①不貞行為、
 ②悪意の遺棄、
 ③3年以上の生死不明、
 ④その他婚姻を継続し難い重大事由
と厳密に定めていますが、実際には、裁判の手続中に話し合い(和解)で解決することも多いようです。

 金銭的な請求ですが、あなたがお子さんを引き取って育てるのであれば、養育費を支払ってもらうことができます。金額は、父母の収入や生活状況を踏まえて決めることになります。もらえる期間は、子どもが20歳になるまでとすることが多いですが、18歳とか大学や専門学校を卒業するまでという定め方もあります。養育費の支払約束が調停調書や判決書、和解調書に記載してあれば、支払ってもらえなくなったときに強制執行をすることができます。裁判所を使わずに協議離婚をする場合は、約束を公正証書にして、支払わなければ強制執行をしてもよいという文言を入れておくと良いでしょう。
 また、結婚後夫婦の協力によって得た財産の精算(財産分与)を求めることができます。あなたの場合のように相手側に離婚原因があるときは、慰謝料の請求も可能です。

No.54 保証人について(2004.8.1)

知人に「絶対迷惑をかけないから連帯保証人になって欲しい。はんこを貸してくれれば、手間も取らせない。」と頼まれました。でも、「保証倒れ」という言葉も聞きますし、友人も「離婚した際に、保証人の問題で苦労した」と言っていましたので心配です。
どうすればいいでしょうか?基本的なことを教えてください。

 連帯保証人になるというのは、自分がお金を借りるのと同じ責任を負うことです。知人から「迷惑をかけない。」といわれても、それは債権者に払わなくて良いと言うことではありません。主債務者である知人が払わなくなったり、破産したりした場合には、あなたが、全額を支払わなければならなくなります。もちろん、あなたが支払った場合、その分を主債務者に求償することはできますが、実際には主債務者に資力がなくて、回収できない場合が多いでしょう。連帯保証人になる場合には、自分が全面的に責任を負う契約だと言うことを覚悟して、契約してください。ですから、もちろん契約書の中味はしっかり自分でチェックすること。「はんこを貸す。」と言う安易な方法を取ると、自分の認識と全く違う内容の契約書が作成されるかもしれません。さらに「公正証書」にされてしまうと、払わなかった場合、あなたの財産が差し押さえられる可能性もあります。くれぐれも慎重にしましょう。

 離婚と保証債務についても問題になることが多いですね。住宅ローンなどの保証人になっているような場合、主債務者である配偶者と離婚しても保証債務は原則として存続します。住宅の持分を主債務者に譲渡しても、当然には保証契約は解除されません。配偶者との間で、離婚の合意として「保証債務の負担をしない」と定めるだけでなく、債権者との間で、正式に保証債務を解除することが必要です。担保物件の持分を失うことで、解除を認める債権者もいますが、新たに、保証人を追加するように求める債権者もいます。事前によく確認しないと、連帯債務だけが、残って思わぬ負担を強いられる可能性もあります。ご注意下さい。

No.53 交通事故について(2004.1.1)

私の友人が先日交通事故にあいました。
事故にあってしまった場合、事故を起こしてしまった場合どうしたらよいか、基本的なことを教えてください。

 交通事故は突然のことなので、誰でも動揺して不安がふくらみます。まず、事故をにあったら、必ず、警察に届け出て、事故の状況を説明し、事故証明書を発行してもらってください。怪我をした人は必ず早めに医者に行き、交通事故であることを告げ、診断書をもらうようにしましょう。
 加害者には、負傷者を救護し、他に危険が拡大しないようにする義務があります。加害者が任意保険に入っている場合には、すぐに保険会社に連絡しましょう。「直接交渉はしないで欲しい。」といわれるかもしれませんが、早めにお詫びとお見舞いをすることは必要です。保険会社の担当者と相談しましょう。保険会社任せにしないで、自分の責任だということを忘れないでください。

 負傷した人はまず、治療に専念してください。任意保険の場合いには治療が終わるまでは、治療費や、休業損害など一部の損害だけ暫定的に支払われます。治療にかかった費用や、交通費などは領収書を整理し、記録を残しておくようにしましょう。加害者が自賠責保険にしか入っていない場合には、被害者請求という方法で、治療中の費用の仮払いを受けることができます。自賠責の保険会社に連絡して、手続きをとってください。
 後遺症が残る場合には、主治医がこれ以上治療しても症状の改善が見られないと判断した時点(症状固定時)に「後遺症診断書」を作成してくれます。この症状をもとに、後遺症の等級が決定され、それによって、後遺症慰謝料や、後遺症による逸失利益の損害を請求することになります。

 被害者にも一定の過失があるという場合には、「過失相殺」といって、その割合に応じて、損害を賠償される金額が減じられることになります。 損害額について不明な点があったり、過失割合が納得いかない場合には弁護士にご相談下さい。

 交通事故は民事的に損害賠償責任を問われるだけでなく、刑事においても「業務上過失致死、致傷罪」として責任を問われることになります。「走る凶器」としての車で、他人の生命身体を傷つけ、自分の人生も傷つけてしまうことにならないよう、くれぐれも気をつけてください。

No.52 遺産分割について(2003.8.1)

私が死亡した場合、誰が相続人になるのですか、法定相続分はどれくらいですか?

 まず配偶者と子どもです。配偶者は法律上届のあるものであり、内縁関係は含みません。子どもは実子養子を問いません。子どもが、被相続人よりも先に亡くなっている場合にはその直系卑属が代襲相続人となります。法定相続分は配偶者が2分の1、子が2分の1です。
 子どもがいない場合には、配偶者と直系尊属が相続人になります。その場合には、配偶者が3分の2、尊属が3分の1です。
 尊属もいない場合には、配偶者と兄弟姉妹です。相続分は配偶者が4分の3、兄弟が4分の1です。この場合でも、先に、兄弟姉妹が亡くなっているときは、その卑属が代襲相続することになりますので、甥、姪に相続分があるケースもあります。

遺産分割協議はどうすればよいのですか?

 相続人全員が遺産の内容を知った上で、具体的な取得財産を決めることになります。
 遺産分割について相続人全員の意思がまとまらないときや、そもそも話し合いができない場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を起こすことができます。そこでも意見が食い違って、調停を成立できないときには、審判で裁判所が決定することになります。

相続人間で話し合わずに、スムーズに相続する方法はないですか?

 被相続人が事前に遺言書を作成しておく事は有効です。その場合でも、兄弟姉妹以外の相続人は法定相続分の2分の1について遺留分を主張することができますので、注意してください。 尚、相続問題については、それぞれの事案に特有な問題が含まれることがありますので、ご心配がある場合には早めに弁護士にご相談下さい。

No.51 債権の回収について(2003.1.1)

私は雑貨の小売業を行うA社を経営しています。以前から取引をしていたB社に対し、最近3ヶ月にわたり雑貨を納品しましたが、支払期日を過ぎてもB社は代金の支払いをしてくれません。
とにかく売掛金を回収したいと思っているのですがどうしたらよいでしょうか。

 まずは証拠を確保しましょう。この様な場合に個々の取引の売買契約書を作成していることは少ないと思いますが、取引始めの契約書、個々の発注書や請求書の控え、納品書などは、既に売掛金回収済みのものを含め大切に取っておいて下さい。将来法的手続を取る場合や、取引内容について相手方と争いになる場合には書証(書面の証拠)が重要な意味を持ちます。
 そして、口頭で請求しても支払ってもらえない場合には、内容証明郵便で請求します。「売買契約に基づき納品しましたが、支払期日を過ぎても支払いがありません。○日までにお支払い頂けなければ法的手段もやむを得ません。」という内容で支払いを促します。
 それでも支払いのない場合には裁判を起こすこととなりますが、ここで重要なのは「B社はA社に○○円を支払え。」という判決が出ても、B社が意図的に支払わないもしくは経営が苦しくて支払えない場合にはすぐに回収できないことです。この場合、相手方の財産に対し強制執行をするしかありません。

 そこで、予め自分が相手方の財産(土地建物等不動産に限らず銀行預金や他社への売掛金等)を把握していれば、裁判を起こす前に仮差押という保全手続を取る方法もあります。ただし、この手続には供託する保証金(請求額の数割)の用意が必要となります。
 自分が相手方の財産を知らない場合には、口頭の請求を繰り返す、内容証明郵便や裁判上の請求などで相手方自らが支払ってくれるよう促し続けることとなります。

No.50 更新後の賃貸借契約の保証について(2002.8.1)

私は約2年前、知人がマンションを借りた際に、その知人に頼まれて家賃などの保証人になりました。その後、その知人は事業に失敗した様子で、また私とも仕事のトラブルのために親交がなくなり、私はこれ以上保証人でいたくありません。
まもなく2年の契約期間が過ぎるのですが、期限後は私の保証責任はなくなるのでしょうか。

 賃貸借契約の契約期間が到来しても、契約を更新することができます。また更新の合意ができなかった場合でも、借地借家法の「法定更新」の制度によって、賃借人が居住を継続している限り、契約は原則として自動的に更新されます。問題は、このような場合に保証人の保証契約上の地位も更新されて、保証の責任が継続するのかどうかです。
 法定更新の制度は賃借人を保護するための制度ですから、保証契約まで更新されないという見解も有力ですが、「法定更新によって保証契約も更新され、保証人の責任は存続する」という裁判例があります。

 この裁判例を前提にすれば、あなたの今後の保証責任を終了させるためには、期限の経過に任せるのではなく、賃貸人に対し「期限後は保証人としての責任を負わない」旨の意思表示をしておく必要があります。トラブルを避けるためには、内容証明郵便による通知をしておくことをお勧めします。
 合意による更新の場合には、保証人との保証契約も新たな契約(署名押印等)が必要で、特別の事情がない限り、新たな保証契約をしない限り責任は終了すると考えるべきです。しかしこの場合でも、保証責任が存続するという見解もありますし、元の保証契約に「更新後も保証責任は存続する」旨の特約があることもありますので、やはり同様の通知をしておく方がよいでしょう。